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ぼくとも。 |

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Posted by 春乃 綺 on  | 

I wanna protect you. (学園アリス)


学アリよりなつみかん(中等部設定)。


-------------------------------------------


傷の舐め合いがしたいんじゃない。



ただ、傍でアンタのことを守りたかった。




ウチのことを陰から守ってくれて


いつも傷ついているアンタのことを。















なんだか、いつもと違うと思った。

朝、遅刻ギリギリに登校してきた蜜柑は、いつものように斜に構えて独り自分の席に座る棗の様子を見て、首を傾げた。

棗の顔色、いつもより悪くないやろか…。

決して白くはないはずの棗の顔が、今日はなんだか白くて。
棗の隣に座る流架も口にはしないが、しきりに横目で棗の様子を窺っている。
けれど棗は普段通りの傍若無人な振舞いで流架やその他委員長のような鋭い観察眼を持つクラスメートを牽制している。
けれど、蜜柑にとってそんなこと知ったことではないのだ。

「なぁ、棗…」
鞄を自身の机に置いて、蜜柑はゆっくり棗に近づいて、声をかけた。
「あぁ?」
不機嫌そうな表情の中に気だるげな様子を隠して、棗は蜜柑を鬱陶しそうに見やる。それに少しムッと顔を歪めて、けれど蜜柑は「なぁ、アンタ――――――」と続けようとした。
その時。
「はい、みんなおはよう。HRはじめるよ~」
席についてね、と笑顔の鳴海が教室の戸を潜ってきて。そうするとみんな億劫そうに自身の席に着き出す。
「あ…」
タイミングを逃すとは正にこのこと。思わず声を漏らしてしまった蜜柑に、棗は怪訝そうな眼差しを向ける。
「おい」
「え、」
「席に着けだとよ」
クソ鳴海が困ってるぜ、と棗が顎でしゃくるその先には苦笑で蜜柑と棗を見つめる鳴海の姿が。
「―――――………」
仕方なく、本当に仕方なく、溜息と共に席に戻っていく蜜柑に棗が内心安堵の息を吐いていたこと蜜柑は知る由もなかった。







HRを終えて、さぁ棗と話すぞ、と意気込んで、後ろをバッと振り向いて。
蜜柑は目を剥いて叫んだ。
「アイツ、居らん!!」
なんで、だってたった今HR終えたことやで!?
おかしいやろ、瞬間移動!?

混乱の余り、髪を振り乱して叫び声を上げる蜜柑に教室から出ようとしていた鳴海がなんでもないように告げる。
「あっ、棗君なら、HR中に教室から出てったよ~」
笑顔で告げた内容にB組のほとんどの生徒が、止めろよ、お前曲がりなりにも担任だろ…、呆れと共に心で突っ込みを入れていたりするのだが、それはあまり話に関係ないので、割愛するとして。
とにもかくにも、棗の居場所に心当たりがあった蜜柑はあとを追おうと席を立った。

「アンタ、授業はどうするのよ」
と、それまで蜜柑の様子を焼きプリンを食べながら静観していた蛍がポツリと蜜柑に言葉を投げかける。
それに肩越しに振り返り、蜜柑は「えーと、、なんやったっけ…?じ、自主早退(?)ってやつや!」と笑顔で答えて、バタバタと教室から出ていく。
それを見送りながら、蛍は焼きプリンを口に運ぶ手を止めて。
「つまり――――サボりね」
ふぅっと溜息を漏らし、ま、程々にしときなさいよ、と心で蜜柑に忠告するのだった。








普段の棗なら北の森に居るはずなのだが、今日の棗は見るからに調子が悪そうであった。
ならば、素直に寮に帰ってるはず。
そう踏んで、蜜柑は寮への道を急いだ。

寮の階段を駆け足で駆け上がり、蜜柑はある一つの部屋までたどり着いた。
――――――――――――――――――Natsume Hyuga.
寮の中で一際大きいこの部屋は現在スペシャルである彼しか使っていない。
蜜柑も入ったことは数える程度しかなくて、しかも招からざるときにこうしてこの部屋の前で一人立つのはおそらく初めてのことで。
蜜柑は一つ深呼吸をして、そして覚悟を決めたように扉の前に握り拳を持ってきて、ノックをした。
それはコンコン、と存外軽やかな音を立てて蜜柑の来訪を告げてくれる。
しかしそれに対する中からの返答はナシ。
蜜柑はもう一度、今度は強めにノックをした。
しーん、と静まり返るこの場の空気に、蜜柑はもしかして居ないんやろか?、と中の様子を窺う。
だが部屋の中からは確かに不規則なゴソリ、という衣擦れの音がしていて。
えーと、つまり……。

「居留守か、おんどりあぁぁぁ!!!!!!」
ドアノブを持って、力の限りドアを押すとドアは案外簡単に開いた。
それに思わず拍子抜けをして呆けてしまう蜜柑に、ベッドの上の棗は凄みをきかせた眼でもって、蜜柑を睨む。
「不法侵入か、お前は」
「それは、アンタが返事せんから悪いんやろ!!」
そう返してずかずかと棗に近づき、蜜柑はベッドの上に寝転ぶ、彼を眺め見た。

……………やっぱり、顔色悪い。脂汗も出てるし……。

近くで見て、それを正確に感じ取った蜜柑は顔を歪めた。
それに棗は小さく舌打ちをする。
「お前、帰れ」
吐き捨てるように棗が言うと、蜜柑はさらに顔を歪めて。
「…アホ。帰れるわけないやろ…っ」
視線を落として、泣き出しそうに瞳を揺らした。
「アンタが独りで抱え込むのを黙って見過ごすなんてウチには出来ひん…っ」
蜜柑は気付いていた。彼の体調の悪さが自然なものではないと。
きっとまた彼は闇の中で何かをして、何かをされてきたのだ。
それを分かっていながら、何も出来ない自分を歯がゆく思う。
でも、せめて。
「――――――――傍にいさせてぇな」
彼を支えていくくらい自分にもさせてほしい。
「今日はウチがアンタの面倒見るからっ!!何でも言ってええんやで!!」
棗は少し虚を突かれたように、瞳を揺らし、やがて溜息を吐いた。
「好きにしろ」
「フンッ!好きにさせてもらうわっ!!」
鼻息荒く、そう言い切った蜜柑は、とりあえず今の現状で出来ることを全てやったのち、顔色の悪い棗のために栄養ドリンクとか、薬とか、簡単に食べられるような食材をセントラルタウンに買いに行ったのだった。










セントラルタウンで看病道具セットを買ってきた蜜柑は玉子粥と喉を通しやすいスープを作って、棗にふるまった。
それを棗は不味い、とか文句を言いながらもすべて平らげ、今は再びベッドに横になっていた。
「なぁ、棗」
聞いてもええ?
ふいに棗の食べた食器とかを片付け終わって棗のベッドの脇にある椅子に腰を下ろした蜜柑が視線を揺らしながら、怖ず怖ずとそう言った。
「…?なんだよ?」
視線だけを蜜柑に合わせて、棗はやけに深刻な顔をする蜜柑にそう返す。
すると蜜柑は、迷ったように視線を彷徨わせた後、意を決したようにそれを告げた。
「その怪我とか体調悪いの………、ウチの…ウチのせい、やろ…っ?」
棗は一瞬固まって、そして身体を起こして蜜柑の方へ向けると、今にも泣きそうな蜜柑と目が合った。今にも泣きそうな表情をしているのに、その眼はやけに真っ直ぐで、曇りひとつない、そんなもので。
あぁ、今のコイツに言い繕った嘘は通用しない。
そう悟った棗はまた体をベッドに身体を横たえて、目を閉じた。

「お前のせいじゃない」
俺が勝手にやったことだ。だから気にするな。

そう告げると、蜜柑は表情を硬くして、首を大きく左右に振る。
「ちゃぅ…っ!ウチのせいや…っ!やって、最近…ウチに対する拘束が弱まった……」
あの初等部校長が最近接触してこなくなった。それと同時期に体調を壊した棗。
関係性を疑わない方がおかしい。
「ウチの代わりにアンタが……っ!!!」

「―――――――みかん」

ふいに自分の名を呼ばれて、それまで取り乱していた蜜柑はゆっくり顔をあげた。そこには真剣な顔で自分を見る棗がいて。

「さっきも言ったはずだ。“お前のせいじゃない。俺が勝手にやったことだ。だから気にするな。”」
噛み砕くようにその言葉を繰り返した棗に、蜜柑はついに泣きだした。

ちゃぅ。泣きたいんはウチやない。それなのに涙が止まらへん……っ。
あとからあとから頬を伝う涙は蜜柑のスカートの裾を少しずつ濡らしていく。
けれど止めることのできなくて、蜜柑は眼を乱暴に擦って、止まれ止まれ止まれ、と自己暗示をかける。
そうしていたから気づくのに遅れた。

涙で歪む視界に棗の両腕が映って、え、と思ったその数秒後には蜜柑は棗の腕の中にいた。
な、棗……?
蜜柑の背中に腕を回し、自分をしっかりと抱きしめる棗の腕の強さに蜜柑は少しの安心感を覚える。
あぁ、あったかいなぁ。
そんなことを思って、棗の腕の中で泣き笑いを零して。
やがて蜜柑も棗の背中に腕を回したのだった。





どうか傍に居させて。

アンタの少しの変化も見逃さないような、そんな近い距離に、ウチを置いておいてください。


守るから、ウチも守られるだけやなくて。

アンタを守るから。


やってウチはアンタのパートナーなんやから。







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はい、超長い小説にお付き合い頂き、ありがとうございました(*´Д`*)。
久しぶりに書きました、なつみかん。

えーと実は私、数年前まで学アリオンリーPCサイトにて二次小説を書いてました(汗)。
「空のはて」っていう、まぁ駄文サイトだったのですが…。
て、知ってる人いるのか…!?

うん、まぁ、もしその時に私が書いてた小説を知ってる人がいたら、今の文章と比較してみても楽しいかも。
成長、してるとは思いますので(ていうかしてないと困る汗)。



あとちょっと学アリについて語りたいのですが、あのB組で確固たる地位にいる棗と対等に接することができるのは恐らく蜜柑だけだろうなぁ…、と。
流架とかはちょっと違う気がする。棗にとって大切な人って観点では同じだけど。
蛍はそういうことは眼中にないので、もしかしたらある意味棗に恐れられているかもだけど、対等とかではないんですよね。
だから、棗のこと心配して、なおかつそれを行動で示すことができるのは蜜柑だけだろうなぁ、とちょっと思ったのです。
蜜柑は棗のパートナーで、恐らく人生のパートナーにもなってく人ですから^^

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