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ぼくとも。 |

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Posted by 春乃 綺 on  | 

萌え要素たくさんでうれしい限りです。

※以下、腐向けもあるので、嫌いな方はご注意!


小説大量アップしました。どうも、お久しぶりです、燈月です。
アップした小説の中にメインであるデジがないのは、もう、なんというか、申し訳ないというしか……( ´△`)アァ-
ネタはあるにはあるんで、そのうち書きますから…必ず…!(汗)
とりあえずpixivかニコニコでデジ巡りして、萌えを補充してきます(私は作品またはCPへの滾り度によってやる気が左右されるので)。

そういえば、ここ最近、私の旬ジャンルが結構な速度で移り変わってます。
Ib→黒バス→うた恋い。といった感じで。ちょっと前までは日和やロマンチカと世界一初恋にもハマってました。
私、基本的にNLもBLもいける人なんですが、BLオリジ作品はロマンチカとセカコイが初めてだったんですよねー、BL本を書店で買うにはどうにも勇気が出ず…(*'へ'*)
あ。ちなみに私が腐ったきっかけは言わずもがなデジですよ。太光サイコー\(^o^)/

ここから、ちょっとした作品・CP語り↓
【Ib】
ギャリイヴ最愛!このふたり可愛すぎてつらい。でもイヴ←メアも好き。
ギャリーさんでイケオネェに目覚めたのは私だけではあるまい。
しかし幼女×オネェって斬新過ぎて(笑)いいぞ、もっとやれ(真顔)
Ibはフリゲーとは思えないほど、クオリティ高いと思う。未プレイの方は一度試しにやってみた方がいい。ホラー苦手だけど私もやったっ!あの美術館、マジ怖い。赤い服の女と無個性さんと青い人形マジトラウマ。
【黒子のバスケ】
なんつーかキセキの面子がキャラ濃すぎて(笑)わんこも俺様も脱力系もツンデレもクーデレも厨二病もいるってどういうことなの( ´艸`)ムププいないのは、ヤンデレくらいか?
黒バスは黒子総受け(キセキ攻めの)と黄笠、高緑、赤降赤が好きっす。
黒子総受け→総受けとか普段なら「ハーレムかよケッ(`A´)y-'」と好きになれないんですけど、黒子がキセキにはクールでつれない態度が多いので、キセキ×黒子に限り好きです。
黄笠→わんこ×飼い主みたいでいいよね!わんこキャラは攻めの方が個人的に美味しいです。
高緑→エース様に万歳!高尾のハイスペック彼氏ぶりと真ちゃんの典型的なツンデレ眼鏡っぷりが好きすぎてつらい…!チャリヤ充マジ爆発しろ。高尾は黒バスの中で包容力あるキャラのベスト3に入ると思う。
赤降赤→マイナーにも程があるけど、天才×凡人の図が好きな私がハマらないわけがなかった。
黒バスは女体化も美味しくもしゃもしゃできます。
【うた恋い。】
もとから平安時代が好きで、当然のごとくハマった。なんていうかー…みんなキャラ濃いよね。
この作品のキャラはみんな愛しいですが、最愛は定家×式子内親王と義孝×保光の娘と行成×(+?)清少納言と東下り三人衆です。
定家のヤンデレ狂気な愛は怖いけど愛しい。義孝は美男子なのに天然、行成は無神経な残念男とこの親子は見目いいのになんでこんな残念なんだろうww少納言はあの勝気なとこが可愛いし、小町はあの生き様が格好いい。んで、三人衆は……どうかいつまでもきゃっきゃうふふしててください(笑)
そういえば最近出た「うた変」がめちゃくちゃ面白くて、声出して笑ったww


そのうち日和についても語りたい。曽芭とか太妹とか閻鬼とか。

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王子様とお姫様と狼と(ギャリイヴ)



◆注意書き
以下、
ギャリイヴがベロチューしてます。
・そこはかとなくエロい…?所詮、私が書くものだけど、保険のためにR15指定かけておきます。
・ほぼ一発書き。自分の書いたラブシーン(失笑)とか読み直す気が起きなかった。
・ギャリーさんがロリコン(このときイヴ14歳)、イヴが痴女っぽい。ギャリーさんはイケオネェなんだよ!イヴは天使なんだよ!という方はご遠慮下さい。
・あとイヴギャリイヴです。前半がイヴギャリーで後半がギャリイヴですかね?
・ギャリーさんの理性がぷっつんしたら、どうなるかを書いた小説でもある。ただし、このときイヴはまだ14歳なので、「包囲網、展開中!」とは別未来のものです。
・どんなものを出されても、ムシャウマァと召しあがれる方のみご覧ください。



Category : 他ジャンル
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包囲網、展開中!(ギャリイヴ)


◆注意書き
・ギャリイヴ+メアリー+イヴ家族小説です。なのに、ギャリーがちっとも出てこない小説です。
 言いたいことは分かる。だから、石を投げないでくださorz
・3人捏造エンドですので、イヴの家にフツーにメアリーが家族として混ざっています。ちなみに妹設定です。
・イヴのご両親とギャリーさんは面識あり。
・イヴさんが男前。というか、あざとい(←)。
・メアリーまじメアリー

以上のことが耐えられない方は回れ右をよろしくね☆←






イヴの家の夕食の場は家柄からか、たいてい粛々とした厳かな空気が漂っていることが多い。ただここ最近のことに限っていれば、とある事情からメアリーの小言とイヴの熱弁が繰り広げているため、非常に賑やかだった。
さて、ではそのとある事情とは何かというと、―――そもそも発端はイヴが16歳の誕生日を迎えたことにあった。


「私、ようやく結婚できる歳になったよ。もう結婚していいよね?――ギャリーと」

娘のこんな爆弾発言に、母は「そうねぇ…」と言うばかりで止める様子は疎か、焦る様子もない。実にのほほんとしたものであった。父の方も「うーん…」と唸り、若干渋い顔をしながらも焦る様子はなく。
というのも、娘が既に数年前から「私、ギャリーをお嫁さんにするの」と素晴らしく愛くるしい笑顔で言い続けてきたことから、両親も現段階ではもう慣れたものなのである。ちなみに言及すると、イヴはあくまでもギャリーを婿ではなく嫁にもらいたいらしい。彼女に何がそう掻き立てるのか、『私がギャリーを幸せにするの(にっこり)』とはイヴの数年来の野望である。

「私はギャリーさんなら大賛成だけど、結婚後はどうするの?貴方はまだ学校あるし、しばらく孫は期待できないかしら」
娘の真顔での言に、イヴの母は一旦口許を布巾で拭って、食事の手を止めた。彼女の頭の中には結婚式で感極まって泣く己の姿や娘の子供を抱いてあやしている己の姿が如実に想像できてしまっていた。それはもう明瞭に。なので、考えるべきは結婚するか云々より結婚した後のことだった。
そんな彼女の隣で、イヴの父も肉厚のハンバーグに入れていたナイフの手を止め、
「こ、子供…?それはまだ早いんじゃないかなぁ…?学生だし、というかそもそもまだ結婚もしていないのに…」
と口許を引き攣らせて言う。
彼の頭の中でも、娘の結婚式の前夜に泣きながら酒を煽る己の姿や初孫に相好を崩す己の姿が脳裏に浮かんできていた。
彼は実のところ、内心では娘の結婚を渋る気持ちもあるし、大事な娘を男に奪われる式典(=結婚式)など正直出席したくなかったりする。それでも娘の結婚を反対しないのは、イヴの決意がとてつもなく固いこと(以前、娘にお見合い話を持ち掛けたら絶対零度の視線を向けられ、見合い写真をビリビリに破り捨てられた。あれは自分の妻が一度だけ本気で『実家に帰らせていただきます』と言ったときの目とよく似ていた)、さらに数年前からギャリーとの結婚の可能性を娘自身に叩きつけられてきたからだった。
まぁ、つまるところ娘の結婚については、既に諦めて久しいのである。娘も妻同様、一度心に決めたら、決して曲げない上に、色々と手強いと彼は身を以て知っていたから。幸い、ギャリーは彼の中で一応合格の範囲内ではあったので(もちろん知り合いにもっと高物件な相手もいたが。…いつかの見合い相手とか)、素直に結婚を許したのだ。
でなきゃ、頑固な娘のことだ、駆け落ちもやむなしという極論に達し、なおかつそれを実行しそうだ。父である彼はその起こり得る未来を想像し、気持ちがドン底にまで沈んだ。……大手を振ってこの家から出て行く娘が見えるようだ。
ちなみに娘の想い人であるギャリーに娘の暴走を止めてもらおうにも、彼は基本的に娘に甘くかつ暴走の被害に遭っているのも主に彼なので、阻止の期待はできない。ならば、いっそ快諾して、娘の暴走を止めることにしようと早い段階で苦渋の決断をした自分の判断は間違っていなかったと彼は今も思っている。

でも子供は早いだろう、子供は。

そんな考えの苦い顔の父を見て、イヴはしゅんと萎れながら呟く。

「…でも、私、早くギャリーに子供あげたいの。7年も待ってもらっちゃったし…」
「あぁ、そうよね。7年は長いわよねぇ…。まぁ、でも授かりものだからね。できちゃったらできちゃったでその時よ」

あっけらかんとした母の様子に父はたらりと冷や汗を流しながら、あまりパンチのない、待ったの言葉を言い募る。

「いや、でも、しかしな? パパは普通に高校は卒業してほしいんだけど…いや、できれば大学も…」
「あら貴方ったら。そうしたら、昼間の間だけ私が預かるっていう手もあるし。そんな深刻にならなくても大丈夫よ~」
「いや、そうは言ってもなぁ…」


「―――てゆーかさぁ」


母と父の言い合いが母の押し切りで終わろうとしたとき、それまで黙ってハンバーグをパクついていたメアリーが呆れ口調で口を挟んできた。

「そもそもイヴとギャリーって付き合ってもないじゃん。それがいきなり結婚なんて、現実感なさすぎ」

ハンッと鼻で笑ったメアリーに怒るでもなく、今日一番の難し気な顔をして、イヴは頷いた。

「そう。今、一番の難点はなかなかギャリーが結婚に同意してくれないことなのよね」
「え、いきなり結婚迫ってるの?お付き合いじゃなくて」
「去年までは“お付き合い”だった」
「それ、結婚前提のお付き合いでしょ」

そんなもん、あのヘタレワカメが了承するわけないじゃん、とメアリーは毒づく。

今日もメアリーのギャリーに対する毒舌は絶好調のようだ。
そこにイヴの母も話に参入してくる。

「あら、イヴ。あなた、まだギャリーさんに了承もらってないの?ダメじゃない。ギャリーさん、いまや売れっ子デザイナーだから、きっとモテるわよ?」

早いとこ首輪つけとかないと、と言うイヴの母の顔は満面の笑みだ。
そういう彼女も数十年前、当時社交界で密かに話題だった若き青年政治家に、早々と首輪をかけた女傑だったのだが、その気性は未だ変わらないらしい。女神のごとく綺麗な微笑から何処か漂う黒さに、あの時捕獲された元青年政治家もとい彼女の現夫は思わず腰を引いた。

基本的に女が強いこの家。イヴとメアリーも着実に強くしたたかに成長しつつあった。その被害を受けているのは主に父とギャリーだ。
しかしこの一点だけはと、ギャリーは交際・結婚については頑なに拒んでいた。それは別にイヴが嫌いなわけでなく、まだ現段階ではギャリーの中ではイヴは可愛いお嬢ちゃんという感じで恋愛対象には入っていないからだった。
イヴが恋愛対象に入る―――つまりイヴを女だと理解し、そういう色っぽい情が彼の中で芽生えるのは、まだ数年先のことだが、それは今は割愛しておく。

『イヴは可愛いわね、大好きよ』と妹に向けるような感情でいつもはぐらかされてばかりのイヴは、母の言葉で嫌なことを思い出したのか、不貞腐れた表情でぼそぼそと呟く。

「ギャリー、私にはもっといい人がいるからってさ。私とギャリーじゃ、歳が違いすぎるし、イヴに自分はもったいないって、頷いてくれない」

ぶくすれた顔のイヴを、メアリーは頬杖をつきながら、さもありなんと言いたげな顔で見やる。

「断るテンプレの台詞よね、それ。もう、いっそ諦めたら?あいつの言う通り、イヴにはもっといい相手がいるわよ、絶対」
「あらぁ、ギャリーさん、いいお相手じゃない。優しいし、気遣いできるし、家事全般得意だし」
「…ママ、それ、女々しいっていうのよ。男らしさがまるでないじゃん。だいたいさぁ、なんで寄りによってギャリー?もっといいの、周りにいるでしょ、いっぱい。だって、オネェ口調の怖がりだよ、あいつ」
私なら絶対イヤー、とメアリーはほとほとイヴが理解できないといったように肩を竦めた。父も口には出さないが、唯一ギャリー絡みのイヴに真っ向から立ち向かえるメアリーにエールを送っている。そこまでギャリーでなくてはならない理由が彼らには分からなかった。いや、メアリーは単にギャリーが気に食わないというのもあったが。何が彼女をここまで思わせるのかと半ば恐々としながら、父は娘の返事を待つ。

―――――そして、彼女の口から飛び出したのはある意味予想通りで、別の意味では予想だにしない言葉だった。

「ギャリーじゃなくちゃ、結婚しても意味がないもの。むしろ、ギャリーが相手じゃなかったら、こんな長年想い続けないし、結婚に焦ったりもしないわ」

全部相手がギャリーだから、と真剣な顔で言い切るイヴに、父は絶句、母は「ギャリーさん、愛されてるわねぇ」と微笑み、メアリーはケッと顔を歪めて毒づく。
イヴの妹の頭の中では姉の最愛の人がパレットナイフで滅多刺しにされているが、それでもメアリーに決意の固い姉を止める術はない。メアリーは大好きな姉の一番が昔からいつもギャリーであることが悔しくて堪らなかった。そして姉の一番の座は近々永遠に彼のものになるだろう。―――気に食わない、とメアリーは歯噛みするが、どうしようもない。だから腹いせに次にギャリーと会ったとき、目一杯いじめてやろうと心に決めるメアリー。
一方、言葉が出ず絶句した父はいよいよ祝福の鐘が聞こえてきそうだと内心泣き濡れていた。前々から覚悟はしてきたけれど、いささか早すぎないだろうか。まだ16になったばかりなのに、もう嫁に出すとか。一言、ギャリーに物申したいが、そもそも彼はこの結婚を了承していないから、見当違いもいいところ。では、責められるべきは誰だ。娘か?いや、しかし、そもそも娘を娶って欲しくないのに、娘を責めるというのも本末転倒な気がするのだが、気のせいだろうか。……とりあえず、ギャリー君とは一度じっくり話し合う必要がありそうだ。せめて、子供はあと数年待ってもらうようにしなくては。そんなことを半分魂が出そうになりながら、ぶつぶつとボヤく父。

そんな彼らを余所に、母とイヴは幸せな結婚に漕ぎつけるにはどうしたらいいかを楽しげに和気藹々と話し合うのだった。







包囲網、展開中!
(貴方が頷いてくれたら、一週間後にはすぐ挙式ね!)





イヴちゃんが虎視眈々とギャリーさんとの結婚を狙う話。

以下、他愛もない補足という名の吐き貯め▽
※ちなみにギャリー氏は自分がイヴ宅でイヴの結婚相手としてみられていることをしらない。
※さらにイヴに嫁扱いされてることもしらない。ちなみになぜ婿でなく嫁かというと、オネェ口調のギャリーは男役じゃなくてホントは女役がやりたいんだと予想→ギャリーのためなら私、男役頑張るね!という結論に至った。そして、結婚を了承したギャリーと話し合った結果、誤解が判明し、「私がお嫁さんでいいんだね、わかった!」となる。イヴはギャリーのためならっ!で、色々と己の常識を覆す子。
※あ、結婚はちゃんとギャリーさんがイヴちゃんに恋愛感情抱いてからになるので、数年後設定です。(いや、今も無意識下では抱いてるんだけどね。ギャリーさんが認めようとしないだけで)それまでにギャリーさんはイヴちゃんに寝込み襲われたり、色仕掛けされたり、「好き、愛してる」を耳元で繰り返し囁かれたりと、まぁ色々され、理性がぷっつんしそうになります。

このままいくと、イヴさん、ギャリーさん押し倒しそうだよねと思って、
ギャリイヴの濃ぃいベロチュー小説書いた私は自重した方がいい(←)。






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あなた限定のわたし(ギャリ+イヴ)


※ハマった勢いでIb小説を執筆。
以下、限りなくギャリイヴに近いギャリー+イヴです。




『イヴはいい子ね』
 言われるたびに誇らしかったその言葉は、いつしか少女に重い枷をはめていった。
 その枷を取り払ったのは―――。


◇◆◇

「それじゃ、イヴ。パパとママ、夜あなたが寝る前までには帰ってくるから、お留守番お願いね」
「うん、いってらっしゃい」
イヴはそう言って、笑顔で手を振り、両親を玄関先で見送った。

今日は父方の遠い親戚の法事があるとかで、イヴの両親は以前から隣町のお屋敷まで行くことになっていた。イヴはまだ小さいから邪魔になるという理由で、ひとりこの屋敷に残ることになり。
イヴをひとり家に残すことを心配した両親から、だれか大人の人に自分らの留守を頼もうかという話も出たが、もう10歳になるのだから大丈夫だとイヴは両親に笑ってみせた。その留守を頼む大人の候補にギャリーの名前もあったから、イヴは彼に迷惑をかけないよう、余計ひとりで大丈夫なように振る舞ったというのもある。
両親は自分たちの他にイヴが一番懐いているのがギャリーだと分かっているから、彼に留守を頼む気でいたのだろう。そしてイヴはそれを見抜き、ギャリーが最近、仕事が軌道に乗り、忙しいことを幼いなりに分かっていたから、なるべく彼に話が行く前に終わらせたかった。
だってギャリーはイヴにどうしようもなく甘いから、きっと仕事を投げ出してもイヴのところに来るだろうことが分かっていたから。ギャリーとはそういう人なのだ、とイヴが理解したのは付き合いのまだ早い段階のころだ。

さてと、と玄関の鍵を閉め、イヴは2階の自室へと向かう。土曜の今日は午前中のうちに学校の宿題を終わらせて、午後はキャンバスに絵を描こうと思っていたのだ。
先日、ギャリーと一緒にメアリーの絵を大きなキャンバスに描き、その絵をイヴが貰い受けた。
現実世界のメアリーの絵画が果たして燃えてしまったのか、そもそも存在しないのかは、依然として分からないままだ。けれど、ずっと燃えてしまったままなのは可哀そうだからと自分たちで彼女を描くことを決めたのはこちらに戻って来て間もない頃だ。
その絵が完成したのが先日のことで、イブは絵画の中で微笑むメアリーのために自分、ギャリー、ウサギなど様々なものを描いては、彼女の横に並べた。―――あの世界で友達が欲しいと言い続けていたあの子が寂しくないように。
今日は何を描こうかな、と考えながら、イヴは物音一つしないリビングを通り抜ける。いつもなら、父がソファに座って、新聞を眺めているそこには、時計の音だけが大きく響いていた。やけに耳障りなその音に心臓の鼓動が少し速さを増した。
(ひとりの家って、こんなに不気味なんだ……)
怖さを殺すために服の胸元をギュッと握りしめる。そういえば、ひとりでこの家で過ごすのは今回が初めてだ、とイヴは今更ながら気付いた。それと同時に心臓は早鐘のように鳴りだす。ふと、リビングと戸続きになっているキッチンから、時折ぴちゃん…ぴちゃんという水が落ちる音がした。
途端、背筋がぞわぞわと粟立つ。イヴはこの感覚に覚えがあった。それは、あの奇妙な美術館に初めひとりで投げ出された時と同じ感覚だった。
でもあの時は途中からひとりではなかったから。彼が、いてくれたから。

(ギャリー……)

彼の名前を声に出して呼びそうになって、慌ててイヴは首を激しく横に振った。
だめだ。忙しい彼を呼ぶわけには。
唇を噛み締め、震えだしそうな足を強引に前に進める。
おかしいな、もう薔薇もないし、自分を傷つける芸術品(モノ)もここにはないのに。誰も居ないことがこんなにも怖いなんて。
転ぶように階段を駆け上がり、イヴは自室へと飛び込み、扉をきつく閉めた。
扉に身体を預けたまま、ずるずるとしゃがみ込み、イヴは小刻みに揺れる両手で自身を守るように抱きしめた。

「……ギャリー…」

こんなときに一番に助けを求めるのは両親ではなく、あの場所で命懸けでイヴを守ってくれた彼の名前で。優しくて頼れる彼はいつだってイヴのヒーローだった。
恐怖で震える自分を優しく抱きしめてくれ、「大丈夫、アタシがいるじゃない」と―――。
そこまで考えたら駄目だった。やがてイヴは膝に顔を埋めて、込み上げてくる恐怖から啜り泣きをはじめていた。

(怖いよぅ…ギャリー……)

どうか、孤独(ここ)から私を救って。



◇◆◇

はぁ。
…はぁ。
……はぁあ。

ギャリーはもう数えるのも面倒なくらい溜め息を吐きながら、シャーペンのノックを頻りにカチカチと鳴らしていた。そして、「うぅぅうー」という呻き声と共に、ちらっと見やるは自身の携帯電話。
今日は仕事初めからこの調子で、それにいい加減耐えられなくなったのは一緒に仕事をしているスタッフだった。
というのもギャリーの勤めるこの小さな服飾事務所はギャリーが大学卒業と共に大学仲間らと設立し、彼をメインデザイナーに頂く形で成り立っている。ギャリーは大学卒業までにいくつかの新人賞をとり、期待の新人として現在世間で注目を浴びている。
ちなみに彼のデザインする服はいずれも上層階級の清楚な少女から女性をターゲットにしたものなのだが、まぁ、今回それは割愛するとして。
つまりどういうことかというと、彼の仕事(デザイン)が出来なければ、他のスタッフも仕事にならないということだ。
数時間前からまっ白なスケッチブックの前で気も漫ろなギャリーの横で、滑らかな赤い生地に鋏を入れていた女性―クレアは眉間に皺を寄せて、彼を睨んだ。

「ギャリー、いい加減にして。全然、仕事になってないじゃない。クライアントの締切、来週末までなんでしょ」
「分かってるわ、……分かってるんだけど…」
「なに、またスランプなの?」
「そうじゃないんだけどぉ……」

そう言葉を濁しては、またちらりと傍らの携帯電話に目をやる。ピクリとクレアの眉が動いた。

「ギャリー……」
「あー…ごめんなさい…ただ、どうしてもねぇ……」

しおしおと謝るくせに一向に仕事の手は進まないギャリーを呆れ眼で見下ろし、クレアは今日はこの人使い物にならないわねと肩を下げた。
ここまで携帯電話を気にするってことは、どうせギャリーが猫可愛がりしているという件の少女がらみなのだろう。
そう思ったのはクレアだけではなかったようで、向かいで型紙を作っている男性スタッフ兼ギャリーの悪友のマットが「なんだよ、ギャリー」とニヤニヤした意地悪い笑みを浮かべ。

「お前、とうとう手ぇ出したのか?」
「アンタ馬鹿じゃないの!?イヴ、いくつだと思ってんのよ!?」
「年端もいかないってことしか知らねぇよ。お前、俺らに会わせねぇし。まぁ、いざって時は警察に知り合いがいるから任せろ」
「ホント馬鹿じゃないの!?警察に世話になる用なんてないわよ、アタシ!」
「数年後は分かんねぇだろ。魔が差したってこともあり得るしな」
「魔が差して手ぇ出すって、それアタシ最悪じゃない!」
「幼女に惹かれつつあるロリコンなのに、いまさらお前何言ってんの」
「まだ惹かれてないわよ!」

ぎゃんぎゃんとやり合う二人に、クレアはただでさえ仕事進まなくて頭痛いのにと、頭痛がする頭をおさえた。
わざわざ休日出勤しに来てるのに、こう仕事が進まないんじゃ、いっそ潔く帰った方がいい気がしてくる。っていうか、私は帰りたい、とクレアは内心で呟いた。


「で?」
「え?」
「今日の仕事の絶不調の理由は?その子が原因なんでしょ?」

ともかく、と未だマットと下らない応酬を続けているギャリーにクレアは尋ねた。これでギャリーが仕事するなり、…最悪帰るなりを選択することを願って。
急に水を向けられたギャリーはえぇと、と言い淀んだ後、もごもごと詳細を喋り出した。

「イヴがね、今日ひとりでお留守番してるんですって。それで、イヴのママさんに何かあったらよろしくって頼まれたのよ…」
「へぇ。それで、電話がかかってこないか、ちらちら携帯見てたのね」
「そう!そうなのよ!イヴがひとりで泣いてそうで、もうアタシ気が気じゃなくって……」
「そう。それは心配ね。だったら、こんなとこでぐだぐだ悩んでないで、とっとと仕事終わらすか、納品諦めるかしなさいよ」
「ちょっ!?それ、選択肢あるようで、ないようなものじゃ…!?」
「な・ん・の・た・め・に・みんなで連日休日出勤してると思ってるのかしらぁ?オーナーァ?」
「はい、すみませんでした」

後ろに般若を背負ったクレアに土下座する勢いでギャリーは謝罪。ぺこぺこと頭を下げ、顔を青ざめながら思ったのは、いつかの『女って怖いわぁ…』という言葉だった。



◇◆◇

とても宿題する気にも、絵を描く気にもなれなくて、イヴはベッドに寝転んだ。頭まですっぽりもぐりこみ、身体を小さく丸める。
ベッドの頭上には、10歳の誕生日にギャリーに貰った赤薔薇を抱えたウサギのぬいぐるみが置いてあり、イヴはそのぬいぐるみを胸にしっかりと抱き込む。
時計は相変わらずカチカチと規則正しい音で時を刻んでいるようだけれど、時間は停滞でもしているかのようになかなか流れていかない。
いつもはあっという間に過ぎる5分が今は一時間にも二時間にも感じられた。

(早く、早く夜にならないかな…)

たしか、両親はイヴが寝る前までには帰ってくると言っていた。裏を返せば、少なくとも日が明るいうちには帰ってこないということだ。
夜まであと何時間あるだろう、とイヴは気が遠くなる思いがした。
寝てしまえば、夜かな。そんなことを考えたけれど、眠気は一向に襲ってこない。
一分が60秒で一時間が3600秒で半日が……一体何秒数えたら、ひとりじゃなくなるの。
ぽろぽろと目から溢れだす涙が顔を伝ってシーツに沁みを作る。
ここに電話がなくてよかった。あったら、きっと心細さから、ギャリーに電話していた。
だめなのに、忙しいから迷惑かけちゃ、手のかからない良い子でいなくちゃいけないのに。

『かわいい!いい子ね、イヴ、大好きよ!』

耳の奥でギャリーの声がする。いつもだったら、一緒に抱き締めてくれるのに、今はその温かい腕はない。

「ギャリー…」

寒々しさにイヴの心は弱っていった。




◇◆◇

「よし、最後の一枚、完成よ!」

そう言うや否や、ギャリーは掛けていた椅子から慌ただしく立ちあがり、身支度を始める。
デザイン画を突き出されるようにして渡されたマットは眉を上げて、「おいおい、やっつけ仕事じゃないだろうな?」とバタバタと動き回るギャリーに訊いた。その言葉に対してのギャリーの反応は「はぁ!?」と肩を怒らすというもので。

「当たり前じゃない!これでもプライドくらいあるわよ。いつも完成品はその時の全力で挑んでる」
「―だな。悪い、軽率だった」
「それで、ギャリー。あの子のところに行くのよね?」

マットの横からデザイン画を見ていたクレアはもう戸口まで行って、今まさに出ようとしていたギャリーを一旦その場に引き留めた。ギャリーは振り向きざまに早口で用件だけ伝えた。

「ええ、悪いけど、問題が起きたら、携帯に電話してくれるかしら。あと、帰る時も連絡頂戴。連絡がなかったら、夜にまた来るわ」
「了解。んじゃ、ギャリーは気になって仕方なかったあの子のところにいってらっしゃい。夕飯は適当に食べるから、ギャリーも適当に食べてね」

クレアの言を噛み砕く間、ギャリーはパチパチと目を瞬き、それから意味を悟ってふっと微笑んだ。つまり、クレアは夕飯が終わるまで、イヴと一緒に過ごせと言っているのだ。なんとも小粋な心遣いだとギャリーは思わず笑ってしまった。

「ありがと。クレアもマットに奢ってもらうといいわ」
「あら、嬉しい。いいの?マット」
「ちょ、待て、お前の奢りじゃないのかよ」
「彼女の飯代くらい、彼氏が持ちなさいよ。情けないわね」

なんだか渋い顔をするマットを尻目に、ギャリーはじゃあねと職場を後にした。


ギャリーは車の行き交う大通りを足早に歩いていた。時刻は三時を回ったところだ。もう少し、早く片付くかと思ったけれど、思いの外時間がかかってしまった。
ギャリーの事務所からイヴの家まで徒歩で30分あまり。イヴたち家族は閑静な高級住宅街の一角に家を構えていて、そこは街の中心地からやや外れたとこに位置する。
なだらかな坂が数十分続く彼女の家まで行くのは、結構骨が折れたりするのだけど、イヴが待ってるとなれば、疲れなんてなんのその、である。
特に今日はイヴの両親が不在ということもあって、いつもより歩くスピードが速い。――まぁ、ママさんのあんな言葉聞けば、速くもなるけどね、とギャリーはやおら息を吐いた。

『明後日ねぇ、私たちが親戚の法事に行っている間、イヴのことお願いできないかしら?ギャリーさんもお忙しいと思うんだけど、あの子をひとりで家に残して行くのはちょっと心配で…。しっかりしている子だけど、脆いところもあるから…。
えぇ、えぇ、そうなのよね、甘えるの下手な子だし、なんだかひとりでお留守番って話をした時、あの子ちょっと泣きそうになっていたというか…。ギャリーさんに来ていただきましょうか?って訊いても、いいの、大丈夫の一点張りで。
お仕事が終わった後でもいいのよ、ちょっと覗いてくれるだけで。えぇ、あの子が一番懐いてるのってギャリーさんだから、ギャリーさんに会えば安心できると思うし…。えぇ、えぇ。お願いできます?あぁ、そうですか。有難うござます。それじゃ、明後日お願いしますね』

一昨日の夜、イヴの母からかかってきた電話。あれから、ずっと気掛かりだった。
イヴは人一倍、芯の強い子だけど、その分、甘え下手なところがある。いつか長い我慢の末にポッキリいってしまいそうで、ギャリーは気が気ではなかった。
自分には時々、甘えるような仕草をしてくれるけど、それも近くにいる時限定で、離れているとき――例えば今みたいな状況で、甘えられたことは皆無だった。
たとえ、心細くても、泣きそうでも、あの子は近くに誰かいないとひとりで我慢してしまう。
だから、なんとなくだけど、

「……泣いてるような気がするのよねー…」

ギャリーは乾いた笑いを漏らした。
恐らく自身の推測は70%くらいの確率で当たっていると思う。泣いてなくても、少なくとも心細くは思っているだろう。
イヴも自分もひとりでいることに未だ慣れないのだ。あの美術館での出来事の後遺症とでもいうのだろうか。
全く厄介なものばかり置いて行ってくれたわ、とギャリーは悪態をついた。


やがて、庭園が見事なお屋敷が目の前に現れる。ここに来る途中で買ったマカロンを右手に、ギャリーはやけにひっそりとしたその家の様子に目を顰めた。
イヴがいるはずなのに、まるで留守の家のように静まり返っているのだ。
辿り着いた呼び鈴の前で首を傾げながら、ベルを押す。家の中にベルが響き渡っているのが、外に居ても聞こえるのに、相変わらず家の中は閑散としたままだった。

「あれ、イヴ、いるはずよね…?」

怪訝な顔で玄関にある小窓を覗く。昼間だというのに家の中の廊下が薄暗いことにギャリーは嫌な予感が胸に広がった。
もう一度、ベルを押し、今度は「イヴー、いないのー?」と中に向けて呼び掛けてみる。も、結果は先程と同じ。
本格的に何かあったことを懸念しはじめたギャリーはコートの中から鈴付きの鍵を取り出した。実は前日にママさんに念のためと合鍵を預かって来ていたのだ。
合鍵を他人に渡すなんてと受け取りを拒否したが、ママさんの押しに負けてしまったけれど、預かっていて良かったかもしれないとギャリーはイヴの母に内心で2度目のお礼を言った。ちなみに1度目は鍵を預かる時に既に言っている。
ドアの中ほどにある鍵穴に鍵を指し、右に捻る。ガチャリ、と鍵は無事に開いた。
そうしてギャリーは鍵をまたコートのポケットに仕舞い、恐る恐るといった体で家の中に身体を滑らせた。

「……おじゃましまーす」

いつもより小さいその来訪を告げる声は生憎イヴの元までは届かなかったけれど。



◇◆◇

ベッドの中で時計を見ながらひたすら秒を数えていたイヴは、呼び鈴のベルの鳴る音にビクリと身体を震わせた。

(誰か…来た……?)

怖々と布団から顔を出し、自室のドアを振り返った。その時、もう一度ベルが鳴り、何事かくぐもった声が聞こえてきた。何を言っているかとか、誰の声だとかは分からなかったけれど、両親でないのは分かっていた。
まだ三時半を10分ほど過ぎたころで、両親の帰ってくる時刻には早過ぎたから。なにより、両親だったら呼び鈴なんて鳴らさない。

(郵便屋さん……?)

他に来ると行ったら、郵便配達の人しか思い浮かばなかった。だったら、出て行って荷物を受け取らなくちゃと思い、布団から出ようとした。今は見知らぬ誰かでもいいから、人の顔を見たかった。
しかし、布団から出る直前、ガチャリと玄関のドアを開け閉めする音がして、イヴは一瞬固まった。玄関は鍵を閉めたから、郵便配達の人は開けられないはず。なのに、なんで玄関のドアが開くの。
まっ白な頭でイヴは茫然としていたが、ぎしっという階段を上がる音がして、一気に血の気が引いた。
ガタガタと震える身体をベッドの中に隠して、イヴは息をひそめて、存在を消すよう努めた。
ウサギのぬいぐるみを胸の―心臓の上に抱えて、顔を壁の方に逸らした。ドク、ドクと脈打つ心臓がうるさかった。
刃物とか持ってたらどうしよう。私今薔薇ないから一回しかダメージ受けれない。ふっと漏れそうになる泣き声を唇を噛み締めることで殺した。
階段を上る音が近づいてくる。そして、その足音はイヴの部屋の前で止まった――。

(怖い。怖いよ。助けて、誰か…。)
(ギャリー!!)

コンコンというノック音でヒクリと竦み上がる自身の心臓。呼吸が止まった。けれどその直後、ドア越しに聞こえてきた声にイヴの心の箍はそれまでとは別の方向に外れる。

「イヴ?いないの?――あら、寝てる?」
「――――!!」

イヴはベッドから跳ね起きて、無我夢中でドアまで駆けた。今までの寂しさと直前の恐怖でイヴの顔は酷いことになっているだろうけれど、構わなかった。
彼だ。彼が来てくれた!
こじ開けるようにして開いたドアの先には、イヴが焦がれて焦がれて仕方なかったギャリーがいた。
いきなり勢いよく開いた目の前のドアにビクついた様子のギャリーの腰に抱きついて、イヴはわんわん泣いた。
泣いている途中、ギャリーがイヴを抱きしめながら、「どうしたの!?なんでそんなに泣いてるの!?」と目を白黒させていたが、イヴはただ泣きながらやっと得た温かい存在を離さないようにしっかりとしがみ付いたのだった。


◇◆◇

それからが大変だった。自室の前で大泣きしているイヴを抱え、「大丈夫だから」とギャリーは繰り返し、イヴの目尻にキスを贈った。
そうして泣きわめくイヴを何とか宥めることに成功したギャリーは台所でコーヒーとココアを作り、1階のリビングのテーブルに置き。家の中が怖いというイヴのためにリビングから目に着く照明を全て点け、少し季節的に早いが暖房も入れた。
それらのことをしている間もイヴはギャリーのコートの裾を掴み、ひよこのように彼の後ろをついて回った。
その後、ようやくリビングのソファに腰を落ち着かせたギャリーはしゃくりあげるイヴを膝に抱いて、暫くそのままでいた。ゆるゆると背中を撫でたり、戯れに頬をさすったり、目尻の涙の跡を拭ったりとギャリーがイヴに触れるたびに、イヴの呼吸は落ち着いていった。
イヴはというと、ギャリーの胸に身体を預け、丁度心臓の真上辺りに耳を押し付けていて。自分より幾分かゆっくりしたギャリーの鼓動にうっとりと目を細めた。

「落ち着いたかしら?」

やがてすんすんと鼻を鳴らすイヴにギャリーが尋ねる。イヴはこっくりと頷いた。するとギャリーがほっとしたように笑う。

「そう。よかった…。あんなに泣いてるイヴ、見たことなかったからびっくりしちゃったわ」
「ごめんなさい…」
「いいのよ。びっくりさせちゃったのよね?」

そう言ってイヴの頭を撫でるギャリーの声はいつもより僅かに低い。イヴは心地いいふわふわした気持ちですりすりと頭をギャリーの胸にすりつけた。
ギャリーの「イヴ、くすぐったいわ」という声を聞いても、気持ちよさに止めることが出来ない。まるで猫になったようだ。なんだか喉も鳴りそうなくらいに気持ちがいい。
イヴはぴとっとギャリーに張り付いて、ふと彼の名前を甘えたな声で呼んだ。

「ギャリー…」
「―なぁに?」
「…ギャリィー…」
「ふふふ、イヴったら今日はやけに甘えたさんね」

柔らかい声音で微笑んだギャリーはイヴの額に口づけ、「可愛い」と恍惚とした声で呟いた。
どうやらこんなに甘えてもギャリーに咎められないことを知ったイヴはさらに普段誰にも言わないような我儘を彼に告げた。

「今日、一緒に寝てほしいな……」

お願い、とでもいうようにイヴは上目づかいにギャリーを見つめる。それに一瞬瞠目したギャリーはすぐにやんわり微笑んで、イヴの頬を両手で包みこんだ。
包んだ頬はふっくらと柔く薔薇色に色づき、見上げるガーネットの瞳は水分を含んで潤んでいる。ゆらゆらと揺れる瞳が口ほどに物を言っていた。

曰く、ダメ?ダメなの?―――と。

(これを断れるやつがいたら、見てみたいわ…)

内心、苦笑いをしながら、ギャリーはイヴの額に自身の額をあわせ、その瞳を覗き込みながら、ふんわりと笑んだ。


「そうねぇ…ママさんに相談してみましょうか。今日、お泊りしてもいいですか?って」






END
(続かないよ)







Ibにハマった勢いのまま、書き散らしました。後悔はない<ドヤァ…
普通にチューとかギャリーさんしてますが、それでも私はギャリー+イヴと言い張る。
一応、彼に下心はないです。純粋に愛しい子(あくまで娘じゃなく、子供)を慰めてるだけなのです。
ぶっちゃけ、私の中のギャリイヴ観では、イヴが幼い時の方がベタベタしてます(笑)

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君に傘を、俺に君を 後編(ぽルカ)


「…それで?」
「え?」
「…そろそろ帰った方がいいんじゃないか?」

あれから、半刻が過ぎた。彼女は手持無沙汰にコーヒーを啜りながら、降りしきる雨を、俺の後ろの窓から眺めている。

外はとっくに夕闇が支配している。さらに、もうすぐ夕食時。
もういい加減、帰りたいんだが、と思いながら、ややボーっとしている彼女を見やった。

彼女は濡れ鼠の格好のままで、ノースリーブのワンピースから剥き出しの肩は色を失って寒々しい。
と、言っても俺が上着を貸してやる義理はないがな。ましてや、夜遅くなって彼女を家まで送っていくなど、冗談ではない。
これ以上の面倒事は御免だった。

言外に俺がそろそろ帰りたいことを告げると、彼女はその顔をあからさまに暗くした。

「…なんだ」
「………家には、帰りたくない…」

そんなこと、俺の知ったことか、とは思ったが、とりあえず何も言わずに先を促した。
彼女は顔を伏せ、やがてぽつりぽつりと語りだした。

「…一人で家にいると、気が滅入っちゃうから…。なるべく、外にいるようにしてるの。…………それに、こんな雨の日は…」
「――ならば」

重々しい彼女の言葉は、天候と相俟って非常に煩わしく感じられ。
俺は忌々しいという感情を隠すことなく、荒い口調で吐き捨てた。

「あんな濡れ鼠になってまで、通りにいることはないだろう。それも傘も差さずに」
「……傘は、差したくない」
「………」

随分、ふざけたことをぬかしていると、俺は呆れかえった。いや、訳ありなのかもしれないけれど―――現に彼女は菫色の"傘"を持った人間ばかりに近づいていたし。
それでも傘を差さなければ塗れるのは当たり前だ。そして、こうして俺のような彼女の様子を見かねた人間が助けるというのも、すぐに想像がつくわけで。
彼女には人に手間をかけさせているという自覚はないのか。俺の心の中に鬱憤がたまっていく。

俺は溜息を一つついて、「それでは」と呆れ交じりに続けた。

「建物の中に入っていればいいだろう。カフェやレストラン、図書館、本屋、入れるところはたくさんあった筈だ。――そこなら傘を差してなくてもいいしな」

最後に少しの嫌みもこめてそう言うと、彼女は「…だめなの」と小さく漏らす。

「…はぁ? なぜ」
「…雨の日は大通りにいなくちゃいけないもの」
「理由は?」
「―――だって…っ、」
「なんだ」
「―――どこにも、いないんだもの…っ」

誰が、とは問わなかった。彼女が誰か――恐らく恋人だろうとは見当がついていた――を探していることは、通りでの一連の出来事で把握できていたから。
菫色の傘に近付いては、落胆していたあの時の彼女の目は、どこか思いつめたものだったため、………その恋人の行方も俺にはなんとなく察しがついていた。

彼女はもう一度「…いないんだ、もの…っ」と零し、わなわなと震える手で自身の顔を覆った。

「駅前のカフェのお気に入りの席にも、
あの人の会社の近くのレストランにも、
たまに仕事を片付けてる図書館のパソコンの貸し出し席にも、
家の近くの本屋の文庫本の棚の前にも、
私の部屋の台所にも、寝室にも、お風呂場にも、ソファーの上にも、
あの人の部屋だったところにも、
どこに、何回行っても、あの人はいないんだもの……っ!!」

彼女は堰をきったように泣き崩れた。
その様を俺は黙って見つめていた。
しとしと、と滴る雨が真後ろの窓を叩き、ガラスにはうっすらと水滴が浮かぶ。
マスターと俺と彼女しかいないこのカフェには、雨の滴る音と彼女の啜り泣く声のみがやけに響いていた。
やがて大いに泣いて、泣き疲れたのだろう。すんすんと鼻を啜りながら、彼女は顔を覆っていた手で、涙でベタベタに濡れた頬を拭った。
泣きすぎてしゃくりあげる声はどこか痛々しい。
濡れて重くなった睫毛も瞳に影を落とし、彼女の悲痛さを浮き彫りにしていた。

そんな中、彼女はしゃくりあげながら、「…だから」と喘ぐように紡いだ。

「だから、雨の日はいつも探すの。外に出て、待ち合わせ場所だったあの大通りで、あの人を。雨男で、あの人が出掛けるときは必ず雨だったから、――だから」
「……どこかに出掛けていて、鉢合わせることを願って、か」

低い声でやっと喋った俺の声は予想以上に固かった。
彼女は未だ紫の変色の残る唇を噛み、力なく頷いた。
そのボサボサの桃色の頭を眺め、俺の心にはなんとも言えない感情が灯っていた。
ここまでソイツに深い想いを抱き、それに現在押しつぶされそうになっている彼女が。

(無償にほっとけないと、思ってしまった。)

ここまでくると人を想うというのは、一種の病だ。いや、罪だというべきなのかもしれない。
風が吹けばポッキリと折れそうなほどに弱くなった彼女を見ると、そう思わずにはいられなかった。
日常生活に支障をきたすほどの深い彼女の想いは、誰でも彼でも持てるものではない。
だからこそ、病であり、罪だと。
そしてそれゆえに押し殺すのは困難なのだとも理解できてしまったから。

やはり彼女をほっとけない。そんな感情が今の俺には芽生えていた。


けれど、同時に愛しささえ湧いてくるのだ。

ここまでソイツを、人を、深く愛せる彼女に。
壊れるまでソイツを求め続ける彼女に。

羨ましいというか、微笑ましいというか、――やっぱり"愛おしい"かもしれない。

抱き締めて、腕の中で存分に甘やかしたくなったのだ。
もう大丈夫だ、と。
自分が傍にいてやるから、と。
――――願わくば、いつか同じくらいの気持ちで俺を想ってはくれないか、と。

俺は気がつけば、頷いた格好のまま項垂れていた彼女の頭に手を乗せていた。
彼女が肩を竦めて、顔をあげる。
その張り詰めた水色の瞳は、まだ僅かに潤んでいて。
ボサボサの桃色の髪を撫でつけてやると、彼女は大きく目を見開いた。

「――思う存分、探せばいい」
「……え、」
「気が済むまで、探せばいい。お前が納得するまで」

俺がそう言うと、彼女は驚愕した顔を泣きそうな笑みへと変えた。

「みんな馬鹿だって言うのよ…」
「……」
「探したってあの人はいないからって、――…っ死んだんだから、もう止めろっていうのよ…っ」
「……そうか」

彼女はおそるおそると言った様子で俺の顔を窺い見た。

「あなたは馬鹿だと言わないの…?」

彼女のその問いに俺はただ微笑んだ。すると彼女の水色の瞳がゆらゆらと揺らめき、ぽつりと頬を一筋涙が伝った。――けれど、その顔は嬉しげな笑顔だった。
そうして再び俯き泣く彼女の頭を、俺は別れ際まで無言で撫で続けていた。

やがて、彼女は掠れた声で「ありがとう」とだけ言い、カフェを去った。
そしてカフェにはマスターと俺だけが残され、彼女の声とあがった雨の代わりに、豆を焙煎(す)る音が響いていた。






――――その後、俺は雨の日は決まって外に出るようになった。

大通りの片隅には、あの時と同じように、彼女が黒いワンピースを纏って、人の群れを眺めている。
彼女は今日も菫色の傘を見つけては、その傘の元に向かう。

そうして幾度となく力なく肩を落とし、大通りの片隅に佇むのだ。

そんな彼女に、俺は傘を差し向け、雨が止むまで一緒に居てやるようになった。
俺の傘から出ては人の群れに向かい、帰ってくる彼女を迎える。――ただそのためだけに。
そんな俺を人は馬鹿というかもしれない。
けれど、それでいいのだ。馬鹿は馬鹿同士、それでいいのだ。

"あの人"を忘れられずに、雨の中、大通りで待つ彼女と、

彼女が寒空の下、一人でいることのないように傍にいる俺。



雨の日以外に、逢うことはない。
どこに住んでいるかも、どんな仕事をしているのかも、携帯の電話番号も、メアドも、はては苗字さえも、お互い知らない。
知っているのは名前と雨の日に大通りにいることだけで。


恋人でなく、
友人でもなく、

雨の日が繋いだ、雨の日限定のこの関係。


いつか違う形になることもあるだろう。
けれど、どんな形になっても悲しみに押し殺されそうな彼女の傍には、俺がいればいいと思う。
変わらず、俺がいればいいと思う。

ただ、それだけを一心に願うのだ。









(――雨があがったな)
(…うん)
(帰るか)
(うん)









無力P様の楽曲「Brella」から。

この小説は無力P様の作りだす音と、ゐつ様の紡がれる言葉の両方を大事にしながら書きました。雨と傘とどこか漂う哀愁と…。いい雰囲気の曲ですよね、大好きです!

小説についてですが、
とりあえずうちのがっくんが俺様、何様、殿様な性格だったので、彼が女性を愛おしく思う瞬間とはどんな時だろうと考えに考えた結果、あぁなりました。女の涙はやっぱり男性にたいして武器になると思うんですよね(笑)
あんな性格の男を書くのは初の試みだったので(普段はもっと掴みどころのない男性を書いてます、その方が得意なんで)、大変難産でした^^;
ちなみにルカさんがこの話の時点で情緒不安定ぎみなので、2人の会話は微妙にちぐはぐにしてあります。無論、わざとです。

さて、私が一番心配してるのは、ウチのがっくんが人様に受け入れられるかどうかなんですが……、うーんどうなんだろ…?(汗)


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君に傘を、俺に君を 前編(ぽルカ)


今日の早朝から降り続く雨は、出かけ方にバケツをひっくり返したかのようなものへと変わった。先程からひっきりなしに叩かれるこの傘の限界も近いだろう。
雨によって煙る視界に目をひそめ、俺は大きな溜め息を吐き出した。

「こんなことになるならば、出掛けるのではなかった…」

天気予報ではここまで酷い雨が降るとは言っていなかった。だからこそ、こうして出掛けてきたのだが、どうやら失敗だったらしい。
初めはあちこちに出来た水溜まりを避けながら慎重に足を進めていた。が、

バッシャアァァ

といっそ馬鹿笑いでもしたくなるくらいの水をズボンと靴に浴びせられてからは、気にするのも馬鹿馬鹿しいと行く手を遮る水溜まりに自ら足を突っ込んで帰路を急いでいる。布が肌に張り付く、なんともいえない気持ち悪さには、当然のごとく目を瞑る他なかった。




やがて一本道の細道は大通りと合流を果たす。
だが、途端に目前を埋め尽くす人の多さに辟易し、自然と足は止まっていた。
傘があると余計にひしめいているように見えるその通りに入るには、なかなか心構えがいる。
小さく息を吐いてから、俺はその人の波に足を踏み入れ―――ようとして、片腕をとられ引き止められた。

「―――っ」

驚き振り向くと、そこにいたのは一人の女だった。雨に濡れた桃色の前髪からは雫がポタポタと落ちて、青ざめた頬を伝っていく。彼女はずぶ濡れの真っ黒なワンピースだけを身に纏っていて、その手に鞄はおろか傘もなかった。


「…何か用か?」

そう訊くと、それまでの彼女の嬉々とした顔が失望のそれへと変わった。

「―――ちがう」

感情の感じられない口調でそれだけ呟いた彼女は、興味が失せたのか、くるりと俺に背を向けた。
よたよたと覚束ない足取りで大通りの片隅まで辿り着き、そこにしゃがみ込んで、彼女は暗い瞳で行き交う人の流れを眺めた。やがて間を待たずにまた立ち上がった彼女は、ひしめく人の群にスルリと入り込み、薄紫の傘へと近付き、数秒後、再び死んだような顔で元いた場所へと戻る。それを繰り返し行う彼女を、俺は暫く見つめていた。

彼女は決まって薄紫の――否、菫色の傘へと近付いていた。

それを見て取り理解した俺は、ズカズカと彼女へと近付き、その腕を掴んで引き止めた。


「――――っ!?」
すると、それまで生気のない目をしていた彼女の目に一寸光が戻る。彼女は大きく目を見開いた。

「行くぞ」

俺は彼女の腕を引き、目を巡らせ、雨を凌げる場所を探した。暫(しば)し驚愕して固まっていた彼女はその間に我に返り、無言で俺の手を振り解こうとしていた。
それを力業で抑えつけて、「此処にいては濡れるだろう」と彼女に自身の菫色の傘を持たせ、空いた方の手を引いて歩き出す。

彼女はそれまでと一転し、奇妙なほど大人しく俺の後を着いてきた。
やや不審に思い、肩越しに振り返ると、彼女は青い目をゆらゆらと揺らして俺に握られた自身の手を凝視していた。

掴まれるのが嫌なのかと一瞬考えたが、それにしては彼女の今の様子は大人しすぎる。
試しに彼女の手を少し強く握りしめた。
彼女の瞳が一層大きく揺れた。

ふいにポロリと目尻から零れた涙が頬を伝い流れる。


それを手で拭って、彼女はやがて静かに泣き出したのだった。







「落ち着いたか?」
その問いに、彼女はぎこちなく頷いた。



彼女を連れて、俺が雨宿りの場所として選んだのは大通りの一角にある少し寂れたカフェだった。
ちょうど知り合いの経営するその店が近場にあったのは幸いだった。
マスターである知人にホット珈琲2つとタオルを頼み、観葉植物の裏手にある奥の席へと彼女を座らせる。
そして煎れたての珈琲を乗せた盆とタオルをそれぞれ両手に持ち、自身らの席の周辺の人除けをマスターに言付けた。

「一つ貸しだからね、がっくん」
「…分かっている」

ちゃっかりそんなことを言い渡す喰えない知人に嘆息してから、俺は彼女の座る席へと戻った。


彼女は微動だにせずに俯いたままだった。その頭(こうべ)垂れた頭にタオルを被せ、拭くように告げた。それでも彼女はピクリとも動こうとせずにそこに鎮座していた。
俺は少し苛立ったように嘆息すると、ガチャンと盆をテーブルに置き、彼女の髪をぐしゃぐしゃと掻き回すように拭いた。
後ろから「がっくん、女性に乱暴しちゃダメだよー」と知人の止める声が聞こえたが、知ったことかとばかりにくしゃくしゃにかき混ぜる。
早く帰りたいのに帰れない苛立ちが沸々と湧き上がってきたから、それを元凶である彼女の髪にぶつけたまで。
連れてきたのは自分のくせに、と他人が聞いたら咎められそうだが、同じく知ったことではない。大体、あれで放っておける者がいたら、そいつは鬼か悪魔だろう。俺は鬼でも悪魔でもないのだ、非常に面倒なことに。


タオルで水気を拭き取って、改めて俯く彼女の顔を覗き込んだ。
相変わらず薄暗い表情だったが、それよりも俺はグシャグシャな髪と整った顔とで釣り合いが取れていないことに笑いの線を刺激された。
みるみるうちに可笑しさが込み上げてきたが、なんとか僅かに口角を上げるだけに留める。
ぽかんとした彼女は目をしばたかせて、俺を見上げていた。その顔がまた可笑しいこと、この上なく。

「ひどい髪だな、大荒れだ。――梳かないのか?」

その言葉に突如、今の自分の状態を悟ったらしい彼女は慌てて手櫛で髪を整えようとした。
だが、絡まった彼女の髪は、地毛のウェーブと相まって手櫛でとけないほどきつく絡まり合っているようで。結局、彼女が痛みに顔を歪めるだけに終わった。おまけに指先が髪の間から抜けなくなったらしく、その様はすこぶる間抜けだった。
ついに堪えきれなくなって忍び笑いを漏らすと、気まずそうな彼女にキッと睨まれた。

「…笑わないで」
「ならば、それをどうにかすることだな」

それ、と己の髪に絡みつかれた彼女の指を指し示す。
すると彼女は決まり悪げにソッポを向いて、「…ほっといて」と小さく告げた。







(後篇へ続きます)







無力P様の楽曲「Brella」から。


初見で創作意欲が掻き立てられ、勢いのまま書きました。
こちらの曲の作詞様の書かれる詞が実は大好きな燈月です。

人様のがっくんとちょっと違いますが、これがウチのがくぽです。侍言葉じゃないけれど、そこはかとなく侍っぽくしてみました。受け入れられると嬉しいな。



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致死量の愛を捧げないでください(カイメイ)


アイツは時々、デロデロなくらい甘いときがある。
そう、まるで、ふつうのバニラのアイスを三乗くらい濃縮させて、ドロドロになるまでかき回したシェイクみたいに。

その中で日頃、ドロドロになるまで甘やかされている私は、
時々アイツに愛されすぎて、そのうち溶けてなくなってしまうんじゃないかと思うときさえある。




ミクら年下組が寝静まった午後11時すぎ。
それからが、メイコとカイトに与えられた束の間の休息タイムだ。

それまで料理、洗濯、掃除、さらにはミク達の面倒をみたりと、何かと忙しなく動いているメイコたちだが、ミク達が寝たら、そのドタバタは一気に終息を迎える。
そうすると、二人はソファに並んで座り、コーヒー片手に「お疲れ様」とお互いを労ったり、…………まぁ、ときどき大人の時間が待っていたりもすることもある。

この時間帯になると、カイトは昼間の”良いお兄ちゃん”を一気に脱ぎ捨て、メイコだけに見せる”甘えたな年下の恋人”へとモードチェンジするのだ。
その豹変ぶりといったら、いっそ見事で、メイコは真剣な顔で「アンタ、実は二重人格なんじゃないの」と問うたこともあるほどだ。
ちなみに、カイトは「めーちゃんだけ特別なの」とゲロ甘な笑顔でのたまっていたが。

はてさて、メイコはこの日もミク達を二階の寝室に行かせ、大きな溜息と共に、柔らかなソファに凭(もた)れていた。


「はい、めーちゃん、お疲れ様」

と、台所で明日の朝食の下ごしらえを終えたカイトが、色違いのマグカップを二つ持ってメイコの元までやって来た。
陶器と木製のテーブルがぶつかる響く音を鳴らし、カイトはコップをメイコの前までスライドさせた。
そうして、拳一つ分くらい空け、メイコの隣に腰掛けて、愛用の青色のマグでコーヒーを啜る。

「ありがと」
と、メイコはマグに手を掛けた。
コップの中では、薄茶の液体が湯気を吹き出し揺れている。
カイトは、最近メイコ限定で出血大サービス中のハニースマイルを愛しの彼女に向け、「どういたしまして」と言いながら、その視線をふいにマグを持つメイコの右手の指先で止まらせた。

「…めーちゃん」
彼は目を伏せコーヒーに口づけるメイコを呼ぶ。
その姿勢のまま、目線だけをカップの中の波立つ液体からカイトへと移した彼女は、小首を傾げて、言葉の続きを促した。
しかし、カイトの目は相変わらずメイコの指――もっというと爪先を注視していて。

カイトはマグをひとまず机に置いてから、自由だった彼女の左手を柔く持ち上げ、「めーちゃん、」と再びメイコに呼びかける。

「マニキュア、塗り直した方がいいんじゃない? ところどころ剥げかけてるし」

ほら、と示されたメイコの爪は、彼女のイメージカラーの赤で彩られていた。が、最近、塗り直しをしていないために、爪の伸びた部分の根元と爪先の一部が欠けたようにその色を失っていた。
やや不格好な自身の爪に「あら、ホントだわ」と応えながらも、メイコはその目はリビングの棚の中に置かれた赤のマニキュアを探していた。
すると、気付けば、カイトがソファから立ち上がって、既に目当てのマニキュアを手にしていて。

アイツはまるで私のしてほしいことを正確に先読みしているようだわ、とメイコはやや呆れながら、「アンタ、ホント女だったらいい嫁になりそうよね」とぼやいた。
ちょっとした嫌みも入っていたその言葉に、カイトはふふっと微笑み、「でしょ?」と自分で軽やかに同意してみせた。メイコは思わず呆れた。

「でしょってあんたねぇ…」
「その時もめーちゃんが嫁に貰ってね。あぁ違う、そんときはめー君(・・・)か」
「…私はメイトじゃないかもしれないじゃない」
「俺とめーちゃんはある意味、一心同体だからね。必ずどっちかが女で、どっちかが男だと思うよ」
「そんなもんかしら……」

そんなもんだよ、とカイトは愉しげに笑う。
なんだかその笑みが気にいらなくて、メイコは膨れっ面でカイトに右手を突き出した。キョトンとした顔もさらに、気に食わず。思わず可愛いとか思ってしまったではないか、不覚にも。

「なに?めーちゃん」
「早くそれ、渡しなさいよ」

メイコがぶすくれた顔で手を突き出し続けると、カイトはそれまでの甘い笑みはどこへやら、ものすごい意地悪い(ただしメイコ主観)笑顔を浮かべ。

「だぁーめ、だよ。めーちゃん」

語尾にハートマークでも付きそうな声音でカイトはそう言い、マニキュアをメイコから遠ざけた。
途端、何だコイツは、と射殺さんばかりの眼力で、メイコはカイトを睨む。そのキモい声音と仕草は一体なんなのかしら。--ぶたれたいの、もしかしてぶたれたいの?

愛しの彼女の胡乱げ、かつ冷たい眼差しにも強靭な心のカイトはめげず。
メイコの「早く」という凄みも、カイトはたいして堪えた様子もなく、飄々とメイコに歩み寄り、彼女の右手を取った。
そうして、ヌルイ笑顔とは正反対の、やけにキラッキラしたオーラを発して、カイトがメイコに顔を近づけ言ったことは。

「俺が塗ってあげる」
「…え、なんで」

間近でその整った顔を見せられ、思わず怯んでしまったメイコである。
そこは惚れた弱みとか、好きなタイプの顔に弱いとか、様々な要因が絡み合った結果だ。
僅かに引き気味になったメイコに、カイトは帰来の人の良さを彼方に放り投げて、さらにごり押しを決めにかかる。

「だって、めーちゃん、両利きじゃないから、右手塗りにくいでしょ。めーちゃんの役に立てるなら、俺も嬉しいし。…ね?」

本心には、五割くらい”メイコの身体に触れたい”という、メイコが知ったら大激怒の不純な動機があるのだが、カイトはそれをおくびにも出さず、ニッコリと笑った。
すると、メイコはさらに言葉に詰まり、この段まで来ると、ほぼカイトの一人勝ちが決定するのである。

「………分かったわよ。ただし、変なことはしないでよ」

はい、と渋々といった体で、メイコは両手をカイトに差し出した。
カイトは内心でガッツポーズを決め、メイコの横に再びいそいそと居直ると、嬉々とした様子で彼女の爪に赤の彩りを置いていく。
それをじっと見つめ、メイコはやがて徐々に肩の力を抜いていった。

そう、なんだかんだ言って、カイトは手先が器用なのだ。
だから、確かにメイコが自分で塗るより、仕上がりは遥かに綺麗なものになる。
現に塗り終わった左手の親指や人差し指は、ムラがなく、まるで陶磁のようなとろりとした色合いをしている。
まったく男のくせに私より器用なんて、と思わないでもないが、そこはカイトだ。
彼は家事全般得意で、特に家事と裁縫にかけてはプロ並みなのである。
いっそ、ボーカロイドからそっちの職種に転身しても、十分やっていけるだろう。……なんか、さっきから褒めっぱなしでムカムカしてきたわ、とメイコはちょっとした意趣返しにカイトの足を一発蹴り飛ばしてやった。

「ちょ、痛いよ、めーちゃん! なにするのさっ」
「うっさい。カイトのくせに。だったらとっとと終わらせなさいよ」
「…はいはい、分かりましたよ。じゃぁ、次、右手ね」

塗り終わった左手を放され、今度は右手を胸の位置まで持ちあげられる。
メイコはまだ乾いていない左手も、右手と同じような高さまで持ち上げたままで保った。
すると自然と、手錠を掛けられるのを待つ囚人のような格好になったようだと、メイコは自分の今の姿に嫌気が差した。その間にも、カイトはメイコの爪を一本一本丁寧に塗りあげていく。
その単純作業の見るのも、そろそろ飽きてきて、メイコは爪を塗られている姿勢のまま、頭をコテンとソファの背凭れに預けた。そしてメイコはふと爪の塗られ具合ではなく、爪を塗る技師であるカイトの観察をしてみる気になった。

マニキュアの刷毛(はけ)が、メイコの爪の上を往復する。その刷毛の行き先を見つめるカイトの眼差しは真剣で、伏せられたまつ毛は影を作り、蒼色の瞳を隠していた。
人間離れした整った顔立ちと均衡のとれた肢体は、完全に釣り合いが取れていて、それはまるで歩くビスクドール。そしてデジタルでデータなボーカロイドらしい四角や三角などで構成されたシンプルな服装の下の身体は、意外に程良く筋肉がついていることも、メイコは既に知っていた。
作られただけあって、カイトは女性が理想とする完璧な男性像と一致している。
つまり、メイコの好みとも、ぴったり合致するわけで。
メイコは知らず知らずのうちに、カイトに見惚れている自分に気付いていなかった。

と、その時、俯いていたカイトが目線だけあげ、メイコに目を向けた。
突然のことに加え、それまでカイトについて考えていたことから、メイコの鼓動は大きく脈打つ。しかしカイトはメイコの鼓動の速度が収まるのを待ってはくれない。

「めーちゃん、あんまりじっと見ないでよ」

上目づかいにメイコを見たカイトは、恥ずかしいのか、すぐさま俯いたが、その顔は微妙にはにかんでいた。珍しい彼のそんな表情を見て、メイコの頬に一気に熱がともった。
なに、その顔、と問う間も無く、「塗り終わったよ」とメイコの右手を放したカイトは、いつの間にかマニキュアの片付けに入っていた。

やがてマニキュアを棚に片し終わったカイトは、ソファで呆けているメイコに寄って来て、彼女の身体を後ろに回り込み、強くメイコを抱きしめた。
メイコのウエストの部分をしっかり支えながら、カイトはメイコのショートの髪をゆるく撫で付ける。
未だ爪が乾いていないメイコは、カイトを抵抗する術を持たず、彼にされるがまま。
だから彼に抱き締められて、抵抗らしい抵抗をしないのも仕方ないわね、とメイコはそう自分で自分にいい訳をした。
カイトは反抗されないのをいいことに、メイコの首筋に顔を埋め、さらに擦り寄った。
そして、ご満悦な顔でふふっと笑う。

「ねぇ、めーちゃん、抱きしめちゃったけど、いいよね?」

カイトがくぐもった声でメイコに尋ねた。
メイコは青髪にくすぐられる首筋を捻り、背後の彼を僅かに睨む。
と、いってもメイコの目尻には赤みがうっすらと滲んでいて。

「アンタ、それ事後承諾じゃない」

メイコの建前上の苦言に、カイトの口は艶やかな三日月に描かれた。
とろりと甘やかに溶けたカイトの瞳が、メイコの理性をゆるやかに崩していく。

「………だめ?」

彼の囁く甘言はメイコをどこまでも誘う。
あぁ、もうだめだわ、こうしてメイコは今日も彼に陥落するのだ。

彼女は大人しく彼に身体を預けた。
それを無言の肯定と受け取り、彼は嬉々満面に微笑むと、またメイコに擦り寄り、首筋に触れるだけのキスを落とし、



「大好きだよ、めーちゃん」



彼は至極、幸せそうな顔で、彼女に愛を捧げた。










致死量の愛を捧げないでください。
 (処理に困ります)




大分、お久しぶりです、すいません(のっけから謝罪ってどうよ)。
ここには出没しませんでしたが、たまにピアプロやpixivで小説は書いてました。

以前書いた病んデレカイメイとは打って変わって、甘々でお送りいたします。
つーか、私、甘いカイメイを書けることに驚愕したお…。

おらはびっくらした…(`・ω・´;)

あ、微妙にきわどい言い回しとかあるけど、これくらいなら大丈夫だと思います。大丈夫だと信じています(←)。





Category : ss
Posted by 春乃 綺 on  | 0 comments  0 trackback
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